性感染症(性病・STD)について


性感染症は、性行為で感染する病気のことです。現在10代、20代を中心に増えてきています。代表的なものは、以下のものです。

 

梅毒

Q 梅毒とはどんな病気ですか?
スピロヘータの一種である梅毒トレポネーマという細菌の感染によって発病します。感染経路は主に性行為です。自覚症状が無く、潜伏期間が長いため知らないうちに多くの人に感染させてしまう傾向があります。感染したまま妊娠すると胎児に感染し、先天梅毒となります。この病気は早めに治療すれば完治しますが、放っておくと脳の神経が冒されます。

Q 症状は?
感染して2〜3ヶ月たつとからだ全体に発疹などの皮膚症状がでるほか、外陰部や肛門付近にただれたような小豆大のできものが現れ、微熱やだるさを感じます。早期に治療を開始すれば完治しますが、進行すると脳の神経が侵され廃人のようになってしまうことがあります。

Q 診断と治療は?

採血検査でわかります。ペニシリン系の抗生剤投与で治療します。

淋病

Q 淋病とはどんな病気ですか?
この病気は淋菌という細菌によって感染する病気です。淋菌は尿道・子宮頚管の粘膜を好み粘膜感染します。性行為やオーラルセックスでうつりますが、咽に感染して咽頭炎を起こすケースや目に感染して失明するケースがあります。クラミジア感染症と同様感染者が増えて来ています。

Q 症状は?
感染すると3〜9日後、陰部の不快感や異臭のある黄色い膿のようなおりものが増える程度ですが、男性が感染すると排尿痛や尿道口から膿が出るなど、女性よりも自覚症状が強いのが特徴です。症状が進むと感染が子宮から卵管まで広がり、激しい下腹部痛と発熱が起こり、不妊症の原因になることがあります。

Q 診断と治療は?

子宮の入口の細胞を綿棒でこするだけの簡単な検査(PCR)です。
抗菌剤を1〜2週間服用すると治ります。

クラミジア感染症

Q

クラミジア感染症とはどんな病気ですか?

クラミジア・トラコマティスという微生物の感染によって起こる病気です。性行為、オーラルセックスで性器や咽に感染します。現在最も多い性感染症で年々増えています。無症状の症例を含めると、20〜24歳の女性では15人に1人がかかっているという調査結果もあります。急増する原因として自覚症状が軽いため知らないうちにパートナーも感染しているケースが挙げられます。

Q 症状は?

感染後約3〜10日の潜伏期間のあと、黄色いおりものや多量の水溶性のおりものが現れますが、淋菌以上に症状が現れにくいため気づかずにいると、卵管炎・骨盤内感染症・不妊症の原因になります。男性の場合は、薄い半透明のうみが出たり、排尿時に痛みを感じるといっ た症状が出ます。

Q 診断と治療は?

子宮の入口の細胞を綿棒でこするだけの簡単な検査です。(PCR検査)
抗生剤を約2週間服用するとなおります。パートナーも一緒に治療しましょう。

性器ヘルペス

Q 性器ヘルペスとはどんな病気ですか?
単純ヘルペスウイルスが性器に感染して起こる病気です。

Q 症状は?
感染後2日〜7日間ほどで発病し、外陰部や膣に米粒大の赤い水泡ができます。これが破れて激しく痛み、あまりの痛さに排尿や歩行が困難になったり、発熱したりすることもあります。一度治っても、体の抵抗力が落ちたときに再発することがあります。

Q 診断と治療は?

肉眼で判明、又は細胞診検査をします。治療は抗ヘルペス剤(内服と軟膏との併用)で3〜4週間で治ります。このお薬は効果的ですが、根治薬ではないのでしばしば再発します。
治療が完全でないと再発しやすいので完治を心がけてください。

尖圭コンジローマ

Q 尖圭コンジローマとはどんな病気ですか?
ヒトパピローマウイルスというウイルスによって感染する病気です。外陰部、会陰部、膣、子宮の入口 肛門のまわりなどに小さなイボが出来ます。増えてゆくとカリフラワー状になります。

Q 症状は?

感染後、3週間〜3ヶ月後に米粒・小豆粒くらいのイボ状のものが出来、初期症状では痛みも無く多少の不快感を覚える程度です。症状が進むとイボ状のものが増えてカリフラワー状になり、外陰部全体が腫れあがります。そしてかゆみ、熱、排尿痛、性交痛、などが出てきます。
ヒトパピローマウイルスのなかには、“ハイリスクタイプ”と呼ばれるものがあり、子宮頸がんの発生と密接な関係があることが明らかになっていますので、早期発見・早期治療が重要です。

Q 診断と治療は?

肉眼で診断できます。確定診断は、イボの病理組織検査で行われます。
治療は、抗パピローマウイルス軟膏塗布が有効です。

トリコモナス膣炎

Q トリコモナス膣炎とはどんな病気ですか?
トリコモナスという寄生虫によって起こる膣炎です。

Q 症状は?

黄色く泡立ったようなおりものが増え、外陰部が痛がゆくなります。まれに不潔なトイレ、浴槽などでうつることもありますが、大抵は性行為によって感染します。症状が進むと膣の自浄作用が低下し、他の感染症にもかかりやすくなります。

Q 診断と治療は?
顕微鏡検査や培養検査でわかります。抗原虫薬の服用で、約1週間で治ります。

カンジダ膣炎

Q カンジダ膣炎とはどんな病気ですか?

カンジダ・アルビカンスというカビが膣に繁殖して炎症を起こす病気です。セックスによっ てうつされることもありますが、実はこのカビは普段から体内に住んでおり、病気や疲労、 妊娠で体の抵抗力が落ちたときや、抗生物質を服用したときなど、膣の自浄作用が弱くなったとき発病します。

Q 症状は?

豆腐カスのような白くポロポロしたおりものが増え、外陰部にやけつくような激しいかゆみ
が起こります。再発しやすいので注意が必要です。

Q 診断と治療は?

顕微鏡検査や培養検査でわかります。
通院して膣洗浄を受けます。抗真菌剤の膣錠と軟膏で治療します。